前職で窓口をしていた時、お客様から一番多く寄せられたご相談のひとつが、実は連絡に関することでした。工事の進み具合を聞きたいのに、担当者に電話しても繋がらない。仕事中で出られず、折り返したら今度は先方が現場に入っていて出られない。そんなすれ違いが積み重なると、些細なことでも不信感につながってしまうんですよね。
塗装の仕上がりそのものより、連絡が取れないことへの不満の方が、実はずっと根深かったりします。工事の内容に問題がなくても、「聞きたい時に聞けない」というだけで、お客様の気持ちはどんどん不安な方向へ傾いていくのです。
忘れられないお話があるんです。岐阜県にお住まいのお客様から、工事開始から数日経った頃にお電話をいただきました。「色が思っていたのと違う気がするけど、誰に聞けばいいか分からなくて」と、困ったご様子でした。担当営業の方の名刺には携帯番号しか書かれておらず、何度かけても繋がらない。現場の職人さんも別の連絡先で、結局どこに聞けばいいのか分からないまま数日過ぎてしまったそうです。
最終的には色自体に問題はなく、光の当たり方で印象が違って見えていただけだったのですが、あの数日間の不安な気持ちは、もう少し早く解消できたはずだと今でも思っています。
見積もりや契約の場面では、価格や工程表には目が行っても、「工事中、何かあったらどう連絡すればいいか」まで確認される方は多くありません。私自身、前職で数多くの現場を見てきましたが、電話一本しか窓口がない業者ほど、繁忙期になると連絡が取りづらくなる傾向がありました。
悪気があるわけではなく、単純に手が回らないだけなんですけどね。職人さんは現場に出ていますし、営業の方も他のお客様対応で外出している。それ自体は仕方のないことだと思います。
それでもお客様からすれば、工事中の家という大きなものを預けている以上、連絡が取れないという状態そのものが不安の種になってしまいます。ここは業者側の事情とお客様の気持ちの間に、どうしても温度差が生まれやすい部分だと感じています。
一方で、電話だけでなくLINEやメールなど、複数の連絡手段を用意している業者さんの現場では、こうしたすれ違いが少ない傾向があったように感じます。写真を送るだけで状況が伝わりますし、電話が苦手な方でも気軽にやり取りできる。ちょっとした確認事項も、文字で残る分、言った言わないにもなりにくいんですよね。
弊社でも、加盟いただいている業者さんには、電話以外の連絡手段もあわせて持っていただくようお願いしています。工事中の小さな安心は、こうした地道な体制づくりの積み重ねだと思っています。