前職で窓口をしていた頃、契約から半年ほど経ったお客様から、こんなお電話をいただいたことがあります。「保証書に書いてある電話番号にかけても、もう使われていませんって流れるんです」と。慌てて業者の名前で調べてみると、法人登記自体はまだ残っているものの、実質的には稼働していない状態でした。工事自体は無事に終わっていて、仕上がりにも問題はなかったんです。ただ、5年後・10年後に何かあったときに頼れる相手がもういない、という不安だけがお客様の手元に残ってしまいました。
このお客様に限らず、契約時点では気づかなかった業者の経営状態が、数年後になって表面化するというケースを、これまで何度も見てきました。工事の腕と、会社としての体力は、必ずしも比例しないんですよね。
外壁塗装業界は、比較的小規模な会社が多く、決算公告をきちんと行っていない事業者も少なくありません。ホームページの雰囲気や施工実績の写真が立派だからといって、それが会社の財務の健全性を保証するものではない、というのが実際のところです。
逆に、地味な会社案内のページでも、地域に長く根を張って堅実に経営を続けているところもあります。見た目の印象だけで判断するのが難しい業界だからこそ、別の角度からの確認が必要になってくると思っています。
難しいことをする必要はなくて、まずは建設業許可の有無と、その許可番号を国土交通省や都道府県のサイトで検索してみることをお勧めしています。許可の更新年数を見るだけでも、その会社がどれくらいの期間、事業を継続してきたかの目安になります。
帝国データバンクや東京商工リサーチのような信用調査機関の情報も、無料の範囲で確認できることがあります。多少専門的に見えるかもしれませんが、数分あれば確認できることがほとんどです。私自身、加盟していただく業者様には、こうした基礎情報を必ず確認するようにしています。
保証書があるから安心、というお気持ちはよく分かりますし、それ自体は大切なものです。ただ、保証書というのは「その会社が存在し続けること」が前提になっている約束なんですよね。会社がなくなってしまえば、紙切れになってしまう可能性があるという現実も、頭の片隅に置いておいていただきたいと思っています。
第三者機関の瑕疵保険に加入しているかどうかも、あわせて確認しておくと安心材料が一つ増えます。業者の経営状態と、保証の実効性はセットで考えるべきものだと、私は思っています。