外壁塗装でご近所と気まずくなったお客様を見てきた私が伝えたい話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年6月4日
外壁塗装と聞くと、多くの方は「業者選び」や「金額」のことを心配されます。けれど、工事が終わったあとに一番長く尾を引くのは、実はご近所との関係なんですよね。今日は、あまり語られないこのテーマについてお伝えしたいと思っています。

工事そのものより、ご近所のことで眠れなくなる方がいる

業界に身を置いて20年になりますが、塗装が終わったあとのご相談で意外と多いのが、お金や仕上がりの話ではなく「お隣との関係がぎくしゃくしてしまった」というものなんです。自分の家を綺麗にしただけなのに、どうしてそんなことに、と思われるかもしれません。

でも、外壁塗装って、想像以上にお隣を巻き込む工事なんですよね。足場を組む音、高圧洗浄の水しぶき、塗料の独特なにおい、業者さんの車の出入り。普段は意識しない「お互いの家の距離の近さ」が、工事の二週間ほどで一気に表面化するんです。

洗濯物に塗料が飛んでしまったお客様のこと

前職で初めて近隣クレームの対応を担当した時のことを、今でも覚えています。神奈川県のあるお客様から「お隣の奥さんが口をきいてくれなくなった」とお電話をいただいたんです。話を伺うと、高圧洗浄の日にお隣の洗濯物が濡れてしまい、それを誰も一言も詫びなかった、と。

金額にすれば、洗濯のやり直し一回分かもしれません。けれど、ご本人にとっては「自分の暮らしを軽く扱われた」という感情が残ってしまうんですよね。塗料そのものより、その「一言があったかどうか」で、後の何年もの空気が変わってしまう。これは数字には絶対に出てこない部分です。

先日も似たご相談がありました。工事自体はとても綺麗な仕上がりだったのに、近隣への挨拶を業者さん任せにしてしまい、施主さんご自身は最後まで顔を出さなかった。それで「あの家は何も言ってこなかった」と陰で言われてしまった、という話でした。仕上がりが良いだけに、なんとも、もったいないお話だなと思いました。

挨拶は業者に任せきりにしない、という小さなこと

多くの良い業者さんは、着工前にご近所へ挨拶回りをしてくれます。それはとてもありがたいことなんです。ただ、私がお客様にお伝えしているのは、できれば施主さんご自身も、一度はお隣に顔を出してほしい、ということなんですよね。

業者さんが渡すのは、あくまで「工事を行う側」としての挨拶です。でも、お隣にとって長く付き合っていくのは業者さんではなく、施主であるあなたです。「ご迷惑をおかけします」の一言を、住んでいる本人の口から聞けるかどうか。受け取る側の気持ちは、まるで違ってくるんです。

難しいことは何もいりません。タオル一枚でも添えて、「来週から二週間ほど、足場が立って音やにおいが出ます。すみませんがよろしくお願いします」。それだけで、ほとんどの行き違いは起きないんです。むしろ、終わったあとに「綺麗になったね」と声をかけてもらえた、というお礼の電話をいただくことの方が、実は多いくらいで。

業者選びの段階で「近隣への配慮」を見ておく

もうひとつ、見落とされがちな視点があります。それは、業者を選ぶ段階で「ご近所への配慮があるかどうか」を見ておく、ということです。

見積もりや打ち合わせの時に、足場をいつ組むのか、洗浄の水や塗料の飛散をどう養生するのか、車はどこに停めるのか。こうした「お隣に関わる部分」を、こちらが聞く前に説明してくれる業者さんは、現場でも丁寧なことが多い印象があります。逆に、そこを尋ねても曖昧にしか答えない一部の業者さんには、少し慎重になっていただきたいなと思うんです。

家を綺麗にするための工事で、長年のご近所付き合いに傷がついてしまっては、本末転倒ですから。仕上がりの美しさと同じくらい、近隣への目配りができるかどうかを、ひとつの物差しにしていただけたらと思っています。

業界のリアル・まとめ

外壁塗装は自分の家のことでありながら、ご近所を確実に巻き込む工事です。挨拶を業者任せにせず、施主自身が一言添えること、そして近隣への配慮ができる業者を選ぶこと。この小さな手間が、工事後の何年もの暮らしやすさを左右するのだと、数多くの現場を見てきて感じています。

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