前職で窓口を担当していた頃、山形県のお客様から連絡をいただいたことがあります。ふるさと納税で外壁塗装の割引クーポンを返礼品として受け取り、それを使って地元の業者に工事を依頼したとのことでした。ところが実際に現場に来ていたのは、その業者から仕事を回された別の会社の職人さんだったんですよね。
契約書に書かれた社名と、現場で名乗られた社名が違う。お客様は「自治体が選んだ業者だから大丈夫だと思っていました」とおっしゃっていて、その言葉が今でも耳に残っています。
ふるさと納税の返礼品というのは、自治体と事業者が提携して成立している仕組みです。ただ、自治体が審査しているのは主に事業者としての実在性や納税処理の適正さであって、実際の工事の腕前や下請け構造までを保証しているわけではないんですよね。
このあたりを混同してしまうと、「自治体のお墨付きだから相見積もりは不要」という判断に傾きがちです。弊社に相談に来られるお客様の中にも、返礼品クーポンをきっかけに一社だけで契約を決めてしまい、あとから他の業者の見積もりを見て金額差に驚く方がいらっしゃいます。
誤解のないように言っておきたいのですが、返礼品クーポン自体が悪いという話ではありません。地元の業者を知るきっかけとして使うのは、むしろ良いことだと思っています。
問題は、そのクーポンに背中を押されて比較検討を省略してしまうことなんですよね。クーポンを使った業者の見積もりを他の二社と比べてみたら、工事内容はほとんど同じなのに金額にだけ差があったという相談を受けたこともあります。