外壁塗装の作業は直射日光を遮るものがほとんどありません。足場の上、外壁のすぐそばは照り返しもあって、気温より数度高くなることも珍しくないんですよね。前職で現場を回っていた頃、真夏の午後に汗だくで塗料を塗る職人さんの姿を何度も見てきました。当時は「これが仕事だから」という空気があって、休憩を取りづらい雰囲気の現場も、実際のところ少なくなかったです。
涼しい室内で仕事をする私たちにとって、炎天下で一日中体を動かす大変さは想像しにくいものです。ですが、職人さんの体調が工事の質に直結するということは、あまり知られていないように思います。集中力が落ちれば、塗りムラや養生の甘さにつながることもあるのです。
忘れられないお話があるんです。長野県のあるお客様から、工事の途中でお電話をいただいたことがありました。「職人さんたちが暑い中で頑張ってくれているので、休憩用に冷たい飲み物を差し入れしてもいいでしょうか」というご相談でした。
直接何かをしなければという義務ではなく、現場で働く人への純粋な気遣いから出た言葉だったのを覚えています。実際にそのお客様は、工事期間中、毎朝麦茶を凍らせたペットボトルを差し入れてくださっていました。担当していた職人さんが「あんなに気持ちのいい現場は久しぶりだった」と話していたのが印象に残っています。
もちろん、差し入れをするかどうかはお客様の自由であって、必須のことではありません。むしろ本来は、業者の側が職人の安全を守る体制を整えているべきだと私は思っています。休憩時間をこまめに設ける、日中の一番暑い時間帯は作業を調整する、塗料や道具を日陰に置く工夫をする。こうした対応をきちんと取っている業者かどうかは、実は工事の質を見極める一つの目安にもなります。
業界に身を置いて20年になりますが、現場の安全管理に手を抜く業者ほど、工程も雑になりがちだという印象があります。逆に、職人の体調管理にまで気を配れる会社は、養生や下地処理といった見えない部分の丁寧さにもつながっている、と感じる場面が複数件ありました。
猛暑の時期に工事を依頼すること自体が悪いわけではありません。ただ、真夏の工程はどうしても職人の負担が大きくなりやすく、可能であれば秋口や春先の涼しい時期に調整するという選択肢も知っておいていただきたいのです。
先日も、施工時期についてご相談をいただいたお客様がいらっしゃいました。外壁の劣化が気になって早く直したいというお気持ちと、暑い盛りに職人さんへ負担をかけたくないというお気持ちの間で悩まれていたようでした。緊急性が高くなければ、少し時期をずらすというご提案をさせていただいたこともあります。