長野県のあるお客様から、震度4の揺れがあった数日後にお電話をいただいたことがあります。「外壁にひびが入ったので、保険で直したい」とのことでした。詳しく伺うと、加入されていたのは火災保険のみで、地震保険には入っていらっしゃいませんでした。
火災保険の中には地震による損害を補償しない契約も多く、地震保険は別途セットで加入する必要があります。このあたりの違いを知らないまま「保険がある家だから大丈夫」と思い込んでいる方は、思っていたより多いというのが実感です。
仮に地震保険に入っていたとしても、そのひびが本当に今回の地震によるものかどうかを示す必要があります。ここが一番厄介なところなんですよね。
築年数の経った外壁には、経年劣化による細かいひびがもともと入っていることが多く、地震の前からあったのか、地震で新しく生まれたのかを後から判断するのは簡単ではありません。保険会社の調査員が現地を見ても、断定できないと言われてしまうケースもあります。だからこそ、地震が起きる前の外壁の状態を写真で残しておくことに、意外な価値があるのだと思っています。
地震のあとは「保険を使えば無料で直せますよ」と声をかけてくる業者が増える時期でもあります。前職で担当していた頃、大きな地震のあとに訪問営業のクレームが急増した経験を今でも覚えています。
不安な気持ちのときほど、こうした甘い言葉に気持ちが動いてしまうものです。保険申請の代行を持ちかけ、高額な手数料だけ抜いていく業者の話も一件だけではありませんでした。まずは地元の工務店や、実績のある業者に現地を見てもらい、ひびの深さや幅、構造への影響があるかどうかを冷静に判断してもらうことが先だと思います。
保険が使えるかどうかと、ひびを直すべきかどうかは、実は別の話なんですよね。ヘアクラックと呼ばれる髪の毛ほどの細いひびであれば急を要しないこともありますが、幅が広かったり深さがあったりする場合は、そこから雨水が入り込み、内部の劣化につながることがあります。
保険が下りなかったからと諦めてしまうのではなく、まずは複数の業者に見てもらい、本当に今すぐ対応が必要な状態なのかを確認していただきたいと思っています。