外壁塗装のための点検で業者さんが家の周りをぐるっと見て回ると、壁のひび割れだけでなく、窓のサッシの劣化や結露の跡、雨戸の傷みなど、いろいろなものが目に入ってきます。築年数がある程度経った家というのは、大体どこか一箇所だけが傷んでいるということは少なくて、いくつもの箇所が同時に年を重ねているものなんですよね。
ですので、点検に来た業者さんが「窓もそろそろですね」と声をかけてくること自体は、実はそれほど不自然な話ではないんです。前職で点検に同行させてもらった経験からも、外壁だけを見て終わる現場のほうがむしろ少なかった記憶があります。
ここで誤解しないでいただきたいのは、同時提案がすべて悪質というわけではないということです。足場を組むタイミングを合わせられれば工期をまとめられますし、窓まわりの工事と外壁の工事を別々の日に頼むより、結果として手間が省けるという面もあります。業者さんなりの善意で言ってくれているケースも、当然あります。
問題になりやすいのは、その場の空気で即決を迫られてしまう時なんですよね。今日契約すればこの価格で、というような言い方をされると、じっくり考える時間を持てないまま話が進んでしまう。断熱の効果を強調されればされるほど、その場で「やらなきゃ」という気持ちにさせられてしまう方も多いように感じます。
先日、埼玉県のお客様からいただいたご相談が印象に残っています。外壁塗装の見積もりを取るために点検に来てもらった業者さんから、窓の結露がひどいから内窓を入れたほうがいいと勧められ、その場でセットのお見積もりを出されたそうです。断熱効果や光熱費の話を熱心にされて、悪い提案ではないと分かってはいても、予算をかなり超えてしまうので即答できなかったとおっしゃっていました。
結局そのお客様は、外壁塗装だけを先に進めることにして、内窓については家計に余裕ができてから改めて考えると決められました。後日「あの場で流されなくて良かったです」とお電話をいただいた時、判断を急がせない場を持てたことに、こちらもほっとした気持ちになったのを覚えています。
もし同じような場面に立たれたら、まず今回の工事で何を優先したいのかを、ご自身の中で整理してみてほしいと思います。外壁の傷みが進んでいて急ぐべきなのか、窓の断熱は数年先でも間に合うのか。優先順位がはっきりすると、その場で決めなければという気持ちから少し距離を置けます。
そのうえで、窓のリフォームについては外壁塗装業者とは別に、窓まわりを専門にしている業者からも見積もりを取ってみることをおすすめしています。同じ内容でも会社によって考え方や価格に差が出ることがありますし、比べてみることで、その場で提示された条件が本当に自分たちに合っているのかが見えてくるはずです。急いで結論を出さなくても、工事は逃げていきません。