前職で窓口をしていた頃から、お盆や正月の前になると外壁塗装の相談が増える時期があるんですよね。「孫が帰ってくるから」「息子夫婦が顔を出すから」という理由を、電話の向こうで嬉しそうに話してくださるお客様が多くて、こちらまで温かい気持ちになったのを覚えています。
家が古びて見えることを、少し恥ずかしいと感じる方も少なくありません。長く離れて暮らす家族に会う前だからこそ、玄関や外壁を整えておきたいという気持ちは、とても自然なことだと思っています。
長野県のお客様から、以前こんなお電話をいただいたことがあります。「お盆までに終わらせてほしい」とご依頼を受け、業者を探す中で、工期を短く見せる会社に惹かれてしまったそうです。実際に工事はお盆前に間に合ったのですが、半年ほど経った頃、塗膜の一部にひびのような跡が出てきてしまい、ご連絡をいただきました。
詳しく伺うと、乾燥の時間を十分に取らずに次の工程へ進んでいた様子で、急いだことが影響していたのではないかと感じています。お客様ご自身も「あの時もう少し早く相談していれば」とおっしゃっていて、その言葉が今でも心に残っているんです。
帰省のタイミングに合わせたいという気持ちは、無理に抑えなくていいと思っています。ただ、それを叶えるためには、思い立ってすぐではなく、数ヶ月前から動き出すことが鍵になるんですよね。
塗装には乾燥の工程がいくつも挟まれていて、天候によっても日数が変わります。余裕を持って相談を始めれば、工期を詰めずにご家族の予定にも合わせやすくなる、というのが私がこれまで見てきた実感です。
お客様の「急ぎたい」という気持ちに応えようとするあまり、工程を削ってしまう業者がいることも、業界に身を置く中で見てきました。本来であれば、難しい依頼であれば早めにその旨を伝え、代わりの提案をすることが大切なのではないかと思っています。
弊社でも、帰省シーズンに合わせたご相談をいただくことがありますが、工期だけを優先して品質を落とすことのないよう、加盟店とも繰り返し話し合ってきました。家族を迎える準備が、数年後の後悔につながらないようにというのが、私たちの願いです。