外壁塗装の見積書には、たいてい塗料のメーカー名や商品名が書かれています。ですが、その塗料を何缶使ったかまで気にされる施主の方は、実はそれほど多くありません。
塗料には決められた「標準使用量」というものがあって、1缶で塗れる面積のおおよその目安が製品ごとに公開されています。ご自宅の壁の面積が分かっていれば、必要な缶数はある程度計算できるんですよね。この数字を知っておくだけで、工事の実態を推し量る手がかりになります。
前職で長野県のお客様を担当したときのことを、今でも覚えています。そのお客様はご自身で塗料の標準使用量を調べ、見積書に書かれた面積から必要な缶数を計算していました。工事が始まってから、現場に置かれた空き缶の数を、さりげなく数えていらしたんです。
結果的にその工事は問題なく、計算どおりの缶数が使われていました。ただ、お客様は「もし数が足りなかったら、どう聞けばいいのか不安だった」とおっしゃっていて。知識としては正しくても、それを確かめる勇気や方法が分からず、一人で抱え込んでしまう方は少なくないのだと感じた出来事でした。
塗料を薄めすぎたり、規定より少ない回数しか塗らなかったりすると、当然ながら使う缶数は少なく済みます。見た目だけでは判断がつきにくい工程だからこそ、缶数という数字は、施主が確認しやすい客観的な材料の一つになると私は考えています。
もちろん、天候や下地の状態によって使用量が多少前後することはあります。ですから缶数がぴったり一致しないからといって、それだけで業者を疑うのは早計です。あくまで「大きくかけ離れていないか」を見る目安として捉えていただければと思います。
おすすめしているのは、契約前の打ち合わせの段階で「使用予定缶数の目安を教えてください」とお願いしておくことです。見積もり時点でおおよその缶数を提示してくれる業者であれば、面積の算出や塗料の扱いに慣れている可能性が高いと感じています。
工事中は、空き缶を現場に置いておいてもらい、写真に残してもらうという方法も一つです。これを嫌がる業者は多くない、というのが私の実感ですが、逆にこの申し出に難色を示すようであれば、少し立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。難しい交渉ではなく、ひと言お願いするだけでいいんです。