埼玉県のあるお客様から伺ったお話です。外壁の色を明るい白系に決め、艶についても特にこだわりがなかったため、業者から勧められるまま艶ありのグレードで契約されました。工事が終わって数週間後、お隣のご主人が困った様子で訪ねてきたそうです。午後になると外壁に反射した日差しがリビングの窓にまっすぐ差し込み、テレビが見えづらいというお話でした。
ご本人は悪気があったわけでは全くなく、色や艶が近隣の生活にまで影響するとは考えたこともなかったとおっしゃっていました。この一件を聞いたとき、私も業界に長くいながら、色そのものより「艶」の説明が足りていない現場が意外と多いのではないかと感じたんです。
外壁塗料には艶消し、3分艶、5分艶、7分艶、艶ありといった段階があります。数字が大きくなるほど表面が滑らかになり、光を鏡のように反射しやすくなる仕組みです。逆に艶消しに近づくほど表面が細かく乱反射するため、同じ色でも眩しさはかなり抑えられます。
新築時のようなツヤツヤした仕上がりに憧れて艶ありを選ばれる方は少なくないのですが、周囲の住宅との距離や窓の向きまで考えて選ばれている方は、正直そう多くない印象です。
厄介なのは、色の明るさと艶の両方が重なって初めて反射の強さが決まるという点です。白や薄いベージュのような明るい色に艶ありを組み合わせると、反射がかなり強く出やすくなります。同じ白でも艶消しであれば、印象は大きく変わってきます。
カタログの小さな色見本だけでは、この反射の具合まではなかなか想像できません。可能であれば実際の壁に近いサイズの試し塗り板を、朝・昼・夕方と時間を変えて外で確認してみることをお勧めしています。太陽の角度によって見え方がまるで違うので、これは実際にやってみないと分からないところがあります。
打ち合わせの際に、周囲の家の窓がどちらを向いているか、隣家との距離はどのくらいか、といったことまで確認してくれる業者さんは、こうしたトラブルへの意識が高いように思います。逆に色決めを急かすばかりで、艶についての説明がほとんどないようであれば、一度立ち止まって聞いてみてもいいかもしれません。
「明るい色にしたいけれど、お隣への反射が気になる」と正直に伝えてみるだけで、艶のグレードを一段階落とす、といった提案が返ってくることもあります。ちょっとした確認で防げるトラブルは、意外と多いんですよね。