玄関灯、勝手口の灯り、駐車場を照らすセンサーライト。どれも外壁にビスで留められていて、裏側には電気の配線が通っています。
塗装のとき、業者さんの対応は大きく分けて二つです。器具をいったん外して壁を塗り、あとで付け直すか。器具はそのままにして、周りをテープとビニールで覆い(養生ですね)、その縁まで塗るか。どちらが良い悪いではなく、器具の状態や配線の具合、それから予算によって変わってくるものだと思います。
ただ、お客様がその違いを知らないまま工事が進んでしまうことが多い。ここが気になっているところなんです。
前職にいた頃、埼玉県のあるお客様からお電話をいただいたことがあります。塗り替えから四年ほど経って、玄関の照明が切れたのをきっかけにLEDの器具へ交換したそうなんです。
「新しい照明を付けたら、前の器具の形どおりに古い色の壁が見えてしまって」と。前の器具は丸く大きいもので、新しい器具はひと回り小さかった。塗装のときは器具を外さずに養生で済ませていたので、器具の裏は二十年前の色のまま残っていたんですね。玄関の真ん中、毎日目に入る場所です。お声がとても沈んでいたのを、今でも覚えています。
結局、その部分だけ塗ってもらうために業者さんを呼ぶことになりました。手間も費用もかかりますし、同じ色で塗っても、四年分の日焼けの差で少し浮いて見えてしまう。「あの時に一言聞いておけば」とおっしゃっていました。
業者さんが手を抜いたわけではないと思います。器具が古く、外すと割れそうだったのかもしれません。それでも、そういう判断をしたことをお客様に伝えていれば、照明を替える時期を塗装に合わせるという選択もできたはずなんですよね。
照明器具を外して付け直す作業は、配線に触れる場合には電気工事士の資格が必要になります。塗装の職人さんがそのまま作業できるとは限りません。
塗装会社によっては、提携している電気屋さんを手配してくれるところもありますし、「照明はお客様の方でお願いします」というところもあります。見積書を見ても照明のことが一行も書かれていない、というのは珍しくないんです。
もうひとつ、ご高齢のお客様で、器具を外したまま数日そのままになり、夜の玄関が真っ暗で怖かったというお話も聞いたことがあります。工事中は足場もありますから、足元が見えないのは本当に危ない。外す場合は、いつ付け直すのか、その間の灯りはどうするのか。そこまで確かめておくと安心です。
難しく考える必要はないと思っています。現地調査や打ち合わせのときに、「この照明は外して塗りますか、それとも周りだけですか」と聞いてみる。それだけで、業者さんがどこまで考えてくれているかが見えてきます。
照明がだいぶ古くなっているなら、塗装の前に新しい器具へ替えてしまうのもひとつの方法です。先に替えておけば、新しい器具の形に合わせてきれいに塗ってもらえますから。
家の灯りは、帰ってきたご家族を毎晩迎えてくれるものです(私はそう思っています)。壁がきれいになったのに、その灯りの周りだけ心残りがある。そんな思いをされる方が、一人でも減ってくれたらうれしいです。