見えない下地処理で手を抜かれたお客様を見てきた私が伝えたい話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年6月5日
外壁塗装で「どの塗料にするか」を一生懸命調べる方は多いんです。でも、実は仕上がりや長持ちを左右しているのは、塗料そのものよりも、その前の「見えない工程」だったりするんですよね。今日はそのお話を、どうしてもお伝えしたくて筆を取りました。

塗料選びより前に、見てほしい工程があるんです

「シリコンとフッ素、どっちがいいですか」というご相談を、前職時代から本当にたくさんいただいてきました。皆さん熱心に調べていらっしゃって、その姿勢には頭が下がる思いです。ただ、一つだけお伝えしたいことがあるんです。

どんなに良い塗料を選んでも、その下の処理が雑だと、数年で剥がれてしまうことがあるんですよね。塗装というのは、洗って、傷んだところを直して、下塗りをして、ようやく仕上げの塗料を塗る——その積み重ねなんです。塗料はあくまで最後の一手。土台がぐらついていたら、上にどんな立派なものを乗せても安定しないのと同じで。

ところが、この土台にあたる部分は、足場とシートに囲まれた中で進んでいきます。お客様の目には、ほとんど届かないんです。だからこそ、ここで差が出てしまう。

「洗っただけで色が変わった」あのお電話を、今でも覚えています

業界に身を置いて長くなりますが、忘れられないお話があります。前職で初めて担当した頃、ある戸建てのお客様から、工事の二日目にお電話をいただいたんです。「壁を水で洗っただけなのに、見違えるくらいきれいになった。これで終わりでもいいんじゃないかと思うくらい」と、半分冗談まじりに、でも本当に嬉しそうにおっしゃって。

高圧洗浄って、それだけ大きな仕事なんですよね。長年こびりついた汚れやコケ、古い塗膜の粉(これをチョーキングと言います)をしっかり落とす。ここが甘いと、その上にどれだけ塗っても、汚れごと塗料が浮いてきてしまう。あのお客様の声を聞いて、「この一工程をきちんとやる業者さんを、お客様に届けたい」と、強く思ったのを覚えています。

逆に、苦い記憶もあります。九州のあるお客様から、塗り替えて二年ほどで一部が剥がれてきた、とご相談をいただいたことがありました。お話を伺っていくと、雨の翌日にすぐ塗り始めていたようで。壁がしっかり乾いていない状態で塗ると、密着しないことがあるんです。塗料のせいではなく、工程の順番と、乾かす時間。そういう「見えない手間」を省いてしまったのだろうな、と感じる事例は、振り返ると複数件ありました。

手を抜こうと思えば、抜けてしまう怖さ

誤解してほしくないのですが、多くの職人さんは本当に丁寧な仕事をされています。ただ、構造として「手を抜いても、その日は分からない」のがこの工事の難しいところなんですよね。

下塗りを一回で済ませる、洗浄をさっと流す、乾燥を待たずに次へ進む。どれも、塗り終わった直後の見た目はきれいなんです。きれいだからこそ、お客様は満足して見送られる。問題が出てくるのは、数年経ってから。その頃には、なぜそうなったのか分からなくなってしまう。一部の、急いで件数をこなそうとする業者ほど、見えない部分から削っていく傾向があるように感じています。

難しい知識はいりません。見るべきは「説明してくれるか」

では施主さんはどうすればいいのか。専門用語を覚える必要はないんです。私がいつもお伝えしているのは、「工程を、言葉にして説明してくれる業者さんを選んでください」ということ。

見積書や打ち合わせの段階で、「洗浄をして、下地を直して、下塗り・中塗り・上塗りと三回塗ります」と、順を追って話してくれるかどうか。写真で経過を見せてくれるか。これを面倒がらずにやってくれる方は、現場でも同じように、見えないところを丁寧にやってくれることが多いと感じています。

もし不安なら、工事の途中で「今日はどの工程ですか」と一言聞いてみるだけでもいいんです。きちんとした職人さんなら、嫌な顔ひとつせず教えてくれます。その小さなやりとりが、お互いの安心につながっていくんですよね。

業界のリアル・まとめ

外壁塗装の良し悪しは、塗料の名前よりも、洗浄・下地補修・乾燥といった「見えない工程」に表れます。手抜きはその日には分からず、数年後に剥がれや色ムラとなって現れることがあるんです。難しい知識はいりません。工程をきちんと言葉で説明してくれる業者さんかどうか、そこを一つの目安にしていただけたらと思っています。

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