外壁塗装の契約書に判を押すとき、私たちはたいてい「この会社にお願いした」という気持ちでいます。ただ、現場に来る職人さんが、必ずしもその会社の社員とは限りません。工程の一部、あるいは全部を、別の職人チームに任せているケースは珍しくないんですよね。それ自体は業界の仕組みとして普通のことで、悪いことではありません。
問題になるのは、元請けから下請けへの支払いが滞ったときです。工事はきちんと終わっているのに、お金の流れだけがどこかで止まってしまう。そうなると、矢面に立つのは、実は一番遠いところにいるはずの施主だったりするんです。
前職で担当していた頃、長野県のお客様からお電話をいただいたことがあります。「工事は終わったはずなのに、職人さんから直接電話がかかってきて、お金を払ってほしいと言われた」というお話でした。聞けば、元請けの会社が下請けへの支払いを後回しにしていたようで、職人さん側からすれば、現場で顔を合わせた施主に連絡するしかなかったのだと思います。
お客様はすでに元請けに全額を支払い済みでした。二重に払う筋合いはありません。ただ、事情を知らないまま突然そんな電話を受けたときの戸惑いと不安は、今でも忘れられません。何度も謝りながら事情を説明し、元請けとの間に入って整理するまで、ずいぶん時間がかかったのを覚えています。
契約の段階で「この工事は自社の職人さんが施工するのか、それとも協力業者さんにお願いするのか」を聞いておくと、あとあと安心材料になります。協力業者だとしても、それを隠さずに答えてくれる業者さんは、比較的信頼できる傾向があるように感じています。
逆に、聞いても濁されたり、話をそらされたりするようであれば、少し立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。
工事代金の支払いは、必ず元請けとの契約書に基づいて行い、その記録(領収書や振込明細)を残しておくこと。それだけで、万が一似たようなことが起きても、「支払い済みです」と落ち着いて伝えられます。もし現場で見慣れない方から直接連絡が来るようなことがあれば、まずは契約した業者の窓口に確認する。それで十分だと思うんです。