埼玉県のあるお客様の現場でのことです。平日の午後、職人が足場の点検をしていたところ、パトカーが近づいてきて事情を聞かれたそうです。近隣を回っていた防犯パトロールの方が「見慣れない人が敷地の周りをうろうろしている」と通報したのが理由でした。職人からすれば普段どおりの作業をしていただけなのですが、傍から見れば知らない人が家の周りを歩き回っている、という状況に映ったのだと思います。
幸い、担当者がすぐに駆けつけて工事であることを説明し、大事にはなりませんでした。ですが職人本人はしばらく気まずそうにしていたと聞いて、私も他人事ではないなと感じました。
考えてみれば、工事現場に出入りする職人は、その家にとっても近所の方にとっても、普段は見かけない人たちです。作業服も会社ごとに違いますし、名札を首から下げていても、遠目には読み取れません。まして高齢の方が多い地域では、防犯意識が高く、見慣れない人の出入りに敏感になっているところも少なくないんですよね。
これは責められるべきことではなく、むしろ地域が防犯に気を配っている証拠でもあります。問題は、工事をする側がその警戒心に見合うだけの「分かりやすさ」を用意できていたかどうかだと思うんです。
先日も別の現場で、施工前に自治会の防犯担当の方へ一言挨拶をしていたおかげで、工事期間中もパトロールの方が声をかけてくれるようになったという話を聞きました。「今日も頑張ってるね」と言われるようになったそうで、これは理想的な形だと思います。
防犯パトロールをしている方たちも、地域を守りたいという気持ちで動いています。工事をする側も、安全に作業を終えて家を守りたいという気持ちは同じはずです。方向性が同じなのに、情報が共有されていないだけですれ違ってしまうのは、もったいないことだと感じます。
業者に任せきりにせず、お客様の側からも近隣の自治会や自主防犯活動をしている方に「今日から工事が始まります」と一言伝えておくだけで、こうしたすれ違いはかなり減らせます。工程表を門柱に掲示してもらうのも、通りがかりの方への説明になります。
私たちがお客様に業者を紹介する際も、現場に工程表の掲示や身分証の携帯を徹底しているかどうかは、確認するようにしています。小さなことですが、こうした積み重ねが、職人が安心して作業できる環境につながるのだと思っています。