サイディングの反りや浮きを「塗れば直る」と思っていたお客様に伝えたいこと

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年10月12日
壁の板が少し反っている、継ぎ目が浮いて見える。そうしたお宅でも「塗り替えれば目立たなくなるだろう」と考えるお客様は少なくありません。塗装では直せないものがあると知っておくだけで、工事のあとの後悔を減らせると思い、今回はサイディングの反りと浮きについてお話しします。

塗った直後はきれいだった、というお電話

前職にいた頃、静岡県のあるお客様からいただいたお電話を今でも覚えています。「塗り替えてまだ一年ちょっとなのに、壁の板の継ぎ目がまた目立ってきたんです」と。

お話を伺うと、工事の前から南側の板が何枚か、端のほうで少し反っていたそうです。営業の方に聞いたら「塗れば分からなくなりますよ」と言われ、それで安心してしまった。たしかに塗った直後は色がそろって、きれいに見えたんですよね。でも反りそのものは残っていたので、季節がひと回りするうちに、また影ができて浮き上がって見えるようになった。

お客様は「最初に聞いておけばよかった」とおっしゃいましたが、そもそも何を聞けばいいのか分からないのが普通だと思います。だからこそ、知っている側が先にお伝えしないといけない、と強く感じた出来事でした。

反りや浮きは、塗料ではまっすぐになりません

窯業系のサイディングは、雨を吸っては乾くことを長い年月くり返すうちに、少しずつ形が変わっていきます。板を留めている釘がゆるんだり、日当たりの強い面だけ早く傷んだり。原因はお宅ごとにまちまちです。

塗料は表面を膜で守るものなので、曲がった板を元に戻す力はありません。

見た目だけの問題でもないんです。浮いたところには小さな隙間ができていて、そこから雨水が板の裏へ回り込むことがあります。表面をきれいに塗っても、裏から湿気を吸えば反りはまた進んでしまう。塗装で「ふた」をしたつもりが、かえって傷みに気づきにくくしていた、という例も私は何度か見てきました。

濃い色を選ぶときは、ひと言確認を

これはあまり知られていない話なのですが、色の濃さも反りに関わることがあります。黒や濃紺のような濃い色は日差しの熱をため込みやすく、夏場は壁の表面がかなり熱くなります。その熱で板が伸び縮みして、反りを助長してしまう場合があるんですね。

サイディングのメーカーによっては、塗り替えに使う色の明るさに目安を設けているところもあります。濃い色がいけないという意味ではありません。好きな色で暮らしたいお気持ちは大切ですし、私もそう思います。ただ「うちの壁材でこの色を使っても大丈夫ですか」と業者さんに一度聞いてみてほしいのです。きちんとした業者さんなら、壁材を確かめたうえで答えてくれるはずです。

塗る前に、板の状態を一緒に見てもらう

反りや浮きがあるお宅では、塗装の前に釘やビスで留め直したり、傷みの強い板だけを張り替えたりする方法があります。どれが合うかは現地を見ないと分かりませんが、こうした手当てが見積書に一行も入っていない場合は、少し立ち止まってほしいと思っています。

おすすめしたいのは、晴れた日の午後に壁を斜め横から眺めてみることです。光が横から当たると、板の反りや継ぎ目の段差が影になって浮かび上がります(高い場所に上るのは危ないので、地面から見える範囲で十分です)。気になったところをスマホで撮っておいて、現地調査のときに「ここはどう扱う予定ですか」と見せてみてください。

その質問に、実物を見ながら丁寧に答えてくれるかどうか。私はそこに、業者さんの誠実さがよく表れると感じています。

業界のリアル・まとめ

サイディングの反りや浮きは、塗装で隠すことはできても直すことはできません。塗る前に板の状態を一緒に確かめ、留め直しや張り替えが必要かどうかを聞いておくことが、塗り替えを長持ちさせる近道だと思っています。

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