相続した空き家の外壁塗装、住んでいなくても必要な理由をお伝えしたいこと

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年7月30日
実家を相続したものの、誰も住んでいない。そんな家の外壁塗装について、ご相談をいただくことが増えてきました。住んでいないのだから後回しでいい、と考える方も多いのですが、そこには見落とされがちな事情があります。今日はそのことをお伝えしたいと思います。

誰も住んでいない家ほど、傷みが早いという話

意外に思われるかもしれませんが、人が住んでいない家は劣化が早いんですよね。換気がされず湿気がこもり、雨樋の詰まりや小さな破損に誰も気づかない。人の出入りがあること自体が、実は家を守っていたんだと、相続の相談を受けるたびに感じます。

外壁のひび割れや塗膜の剥がれも、住んでいれば「あれ、ここ変だな」と早めに気づけます。でも空き家では、数年単位で放置されてしまうことが珍しくありません。気づいたときには下地まで傷んでいた、というご相談も複数件ありました。

「特定空家」に指定されるということ

空家対策特別措置法という法律があります。管理が行き届いていないと市区町村が判断した家は「特定空家等」に指定されることがあり、そうなると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が増える可能性があるんです。外壁の破損や剥離の放置は、その判断材料のひとつになり得ると言われています。

長野県のお客様から、こんなお電話をいただいたことがあります。数年前に亡くなったご両親の家を相続したものの、ご自身は県外にお住まいで、管理は年に一度帰省するくらい。ある日、市役所から「外壁の剥落が近隣の通行に影響する可能性がある」という通知が届いて、初めて事の重さに気づいたそうです。「まさか自分の実家がそんな扱いになるとは思っていませんでした」とおっしゃっていたのを、今でも覚えています。

すぐに危険な状態というわけではなくても、外壁の状態は放っておくほど選択肢を狭めてしまう。売るにしても、貸すにしても、解体するにしても、外観がきちんとしているかどうかで話が変わってきます。

空き家だからこそ、業者選びに慎重になってほしい理由

住んでいる家であれば、工事中に施主が現場を見て、気になることをその場で聞けます。でも空き家の場合、遠方から数回訪れるだけ、あるいは一度も現場に立ち会えないという方も少なくありません。

これは正直、業者にとって「見られていない現場」になりやすいということでもあります。手を抜かれても気づきにくい。だからこそ、施工報告を写真でこまめに送ってくれるか、遠隔でのやり取りに慣れているか、契約前に確認しておいてほしいんです。前職時代、留守中の工事で近隣とのやり取りまで丸ごと業者任せにしてしまい、後からトラブルの経緯が全く分からなくなってしまったお客様を見てきました。空き家の工事ほど、記録を残す姿勢のある業者を選んでいただきたいと思っています。

相続した家と、どう向き合うか

売却するか、貸すか、いずれ解体するか。方針が決まっていない段階で外壁塗装に踏み切るのは、正直ためらう気持ちもよく分かります。ただ、方針が固まるまでの数年間、家を「傷ませたまま待つ」のか「守りながら待つ」のかで、後の選択肢は大きく変わってきます。

ご両親が長く暮らした家には、思い出も詰まっています。すぐに答えを出せなくても、外観だけは整えておく。それだけで、家に対する気持ちの持ちようも変わってくるのではないかと思うんです。

業界のリアル・まとめ

空き家は人の目が届かない分、劣化に気づきにくく、放置すれば税負担や資産価値にも影響しかねません。方針が決まっていなくても、外観を整えておくことが、後悔しないための備えになると考えています。

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