外壁塗装では見えない、擁壁とブロック塀の劣化を見落としたお客様の話

著者: 山内 竜太 (株式会社外壁塗装くらべる 代表取締役) | 公開: 2026年9月3日
外壁塗装のご相談を受けていると、皆さんの目線はどうしても外壁そのものの色や艶に集中しがちです。ですが敷地を支える擁壁や、道路との境にあるブロック塀まで気にかけていらっしゃる方は、実はそう多くありません。今日は、工事の範囲からこぼれ落ちやすい「敷地の足元」の話をお伝えしたいと思います。

現地調査で気づいても、言えなかったことがあるんです

前職で現場調査に同行させてもらっていた頃のことです。担当者が塀の傾きに気づいていても、契約が外壁塗装だけだったからという理由で、報告書には一言も触れずに終わることがありました。長野県のあるお客様のお宅では、擁壁の表面に細かいひびが何本も入っていたのですが、見積書にはそのことがまったく書かれていなかったんです。

その場では「今回のご依頼は外壁塗装ですから」で済んでしまいます。誰も間違ったことはしていません。ただ、施主であるお客様だけが、そのことを知らないまま何年も過ごすことになります。

数年後、そのお客様から「擁壁の一部が膨らんできた気がする」とお電話をいただいたことがあります。あのとき現地調査で気づいていたはずなのに、と思うと、今でも心のどこかに引っかかっているお話です。

ブロック塀の基準は、実は見直されているんですよね

2018年に起きた大阪府北部の地震をきっかけに、通学路沿いなどの塀の安全性が改めて注目されるようになりました。それ以降、点検や撤去、建て替えに補助制度を設ける自治体が増えてきています。

ご自宅の塀が古いブロック塀のままだったり、控え壁がなかったりするケースは、いまでも珍しくありません。それでも、外壁塗装の見積もりのやり取りの中で塀について一言も触れられないまま契約に進んでしまうお客様を、複数見てきました。

担当者が悪いというより、単純に「今回の工事の対象ではない」というだけの話なんですよね。ただ、足場を組むために塀のすぐそばまで職人さんが入るのに、塀そのものは誰も見ていない、という状況は少しもったいないと感じています。

「範囲外だから」で終わらせないための一言

業者側に悪意があるわけではありません。契約書に書かれていない箇所については、そもそも指摘する義務がないというのが実際のところです。だからこそ、施主側から「擁壁やブロック塀の状態も、ついでに見ていただけますか」と一言添えてほしいと思っています。

兵庫県のお客様から伺った話も忘れられません。塀の無料点検制度が自治体にあることをご存じなくて、外壁塗装がすべて終わったあとにご自身で調べて申し込まれたそうです。「もっと早く知っていれば、足場があるうちに一緒に見てもらえたのに」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

見えているものだけが、家を守っているわけではない

外壁も、擁壁も、ブロック塀も、同じ敷地の中で暮らしを支えているという点では変わりません。外壁塗装で足場を組むタイミングは、建物本体だけでなく、敷地全体を見直すいい機会でもあると私は思っています。

見積書に書かれている項目だけがすべてではありません。一度、外壁の外側にも目を向けてみてほしいなと思います。

業界のリアル・まとめ

外壁塗装の契約範囲は、あくまで建物の外壁までです。擁壁やブロック塀は対象外になりやすいからこそ、足場があるうちに一緒に見てもらえないか、施主側から一言聞いてみることをお勧めしたいと思っています。

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